口腔機能低下症とは?(50歳以上の方対象)

加齢や疾患、障害などによる口腔機能の低下が表れ、咀嚼や摂食嚥下の障害を引き起こします。また、低栄養やフレイル、サルコペニアを進行させるなど、お口の周りに留まらず、全身の健康をも損ないかねない病気のことを指します。
単なる老化現象ではなく、治療・介入が必要な「疾患」と定義されます。これを放置すると全身の筋力低下(サルコペニア)や要介護となるリスクにつながります。

主な症状

1.噛む力の低下

噛む力が出ず、食べこぼしや硬いものが食べにくくなります。 思うように咀嚼できないため、丸飲みしがちになり、結果的に消化にも悪影響を及ぼす場合があります。

2.飲み込む力の低下

食べ物や唾液の嚥下が難しい状態です。これを放置すると栄養失調にもつながり、さらなる筋力低下などをつながりかねません。

3.唾液が減る

唾液にはお口の中の潤いを保ち、飲み込みをスムーズにする役割がありますが、唾液の分泌が減少すると、お口の中の乾燥を引き起こします。

4.言葉の発音が難しい

お口周りの筋力、舌や唇の運動能力が低下し、言葉を明瞭に発することが難しくなります。

症状進行に伴う影響

噛む力の低下によって、十分な咀嚼が難しくなり、堅くて噛み応えのある食品が食べられなくなります。肉などのタンパク質を摂取しづらくなり、筋力や体力の低下にもつながります。
舌と口腔の筋肉のコントロールも思うようにいかなくなるため、話すこと自体に難しさが伴うようになり、コミュニケーションに支障が出るリスクもあります。
食事時、飲み込むことが難しくなり、食べ物や唾液が喉に詰まる感覚が生じたり、誤嚥性肺炎を発症するリスクもあります。

口腔機能低下症の検査

7項目による検査を行い、3項目以上が基準値を下回ると「口腔機能低下症」と診断されます。検査時間は約30~60分程度で、健康保険適用です。

口腔衛生状態 舌苔の付着程度を視診で評価します
口腔乾燥(ドライマウス) 口腔水分計(ムーカス)やサクソンテスト(ガーゼ噛み)等で唾液量および、口腔内の水分量を測定します
咬合力 残っている歯の数をカウントし、感圧フィルムによる最大咬合力の測定を行います
舌口唇の運動機能 「パ」「タ」「カ」の発音で運動機能を測定します
舌圧 舌圧計を用いて舌の力を測定します
咀嚼機能 グミゼリーを噛んでいただき、溶解ブドウ糖値を測定することで咀嚼能力を測ります
嚥下機能 問診票(EAT-10など)記入内容を見て、嚥下機能をチェックします

口腔機能低下症の改善

1.口腔ケア

最低でも1日2回以上の歯磨きをすることや、歯間ブラシ、舌ブラシを使用することが挙げられます。
日常的な歯磨きを行い、口内環境は清潔に保つことが肝要です。
定期的な歯科検診やクリーニングも大切です。

2.口腔機能トレーニング

口周りの筋肉トレーニングや唾液腺マッサージ、嚥下リハビリなど、医師の指導のもとで行うことが重要です。口腔機能低下症に特化したリハビリプログラムを実践することで、お口の機能改善につながります。

3.舌圧トレーニング

専用の器具を使って、舌の筋力や持久力を鍛えます。専門の器具でトレーニングすることで舌圧を上げることができます。

4.あいうべ体操

舌や口周りの筋肉を鍛えることで、口がポカンとなるのを防ぎ、口呼吸の改善につながります。

1.「あ~」口を縦に大きく開く
2.「い~」口角を左右にしっかり広げる
3.「う~」唇を前に突き出してすぼめる
4.「べ~」で舌を突き出して下へ伸ばす

各動作を1〜3秒間キープし、10回繰り返します。
声を出しながら行うとより効果的です。
ゆっくりと大きな動きを意識しながら、10回を1セットとし、1日3セット行うのが目安です。入浴中や就寝前に行うのがおすすめです。
無理はせず、ご自身のできる範囲で行ってください。

まとめ

食べること、話すことは生きていくためにとても大切なことです。
毎日の生活の中で、ふと気づいた変化に目を向け、健康寿命を延ばすために、日々無理なくできることから始められたらいいと思います。
当院では、患者さんのお口の健康を守るため、継続的なサポートをさせていただきます。
気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。